抄録
1. 緩効性の合成有機窒素肥料 Ureaform(Uf) の最適施用量を明らかにする目的で, 1株当たり成分量で6, 8, 10, 12gの4区を設けた。なお, 菜種かす (R),硫安 (A), 尿素 (U) をそれぞれ成分量で8g施用した3区も比較のため設けた。そしてこれらの肥料処理がメロンの生育, 果実の重量および品質, 葉における各種形態の窒素含量に及ぼす影響を“Earl's Favourite”系秋作用品種を用いて調査した。
2. Uf-8, Uf-10区の果実の重量はUf-12, A, U区よりも大であつた。一方, Uf-6, R区のネットおよび後熟日数からみた果実の外観は, Uf-12, A, U区よりもすぐれていた。
3. Ureaform の施用量が6gから10gに増加するにつれて, 葉のNH4-NとNO3-N含量, 土壌の電気伝導度およびNO3-N含量は増加した。以上の結果から, とくにUf-10, Uf-12区の葉のNO3-N含量から考え, メロンの Ureaform の最適施用量は, 1株当たり成分量で6~8gであると思われた。
4. 各種窒素源の無機化の傾向を明らかにする目的で, Ureaform, 菜種かす, 硫安, 尿素を20°Cと30°Cの温度で incubate し, それらの Ammonification とNitrification を測定した。
5. 20°Cで incubate した Ureaform の Ammonification は incubate 後28日目で69%に達し, 以後しだいに低下し, 63日目には30%まで低下した。一方, Ureaform の20°Cにおける Nitrificationは incubate 後63日目で52%に達した。
同じ温度で incubate した菜種かすの Ammonification は incubate 後28日目で60%に達し, 以後しだいに低下し, 63日目には27%まで低下した。一方, 菜種かすの20°Cにおける Nitrification は incubate 後63日目で37%に達した。
尿素の20°Cにおける Nitrification の傾向は Ureaform のそれと似ていた。
20°Cで incubate した硫安の Nitrification は, 63日目でもわずかに10%みられたにすぎなかつた。これは硫安加用により土壌のpHが低下したためと思われる。
6. 30°Cで incubate した Ureaform, 菜種かすのNitrification は20°Cにおけるそれらよりもかなり大であつたが, 30°Cで incubate した尿素と硫安の Nitrification は20°Cにおけるそれらよりもわずかに大きかつたにすぎなかつた。