抄録
ナルトミカンの果皮黄斑(はん)症は1月下旬ごろから現われ, 2月下旬~3月中旬に発生が多い. 3月下旬以後は新たな発生や症状の進展はみられない. 従って, 発生や進展には冬季の低温が関係しているように思われる. 3月下旬以前に採取した障害果からは, 健全果に比し多量のエチレンの発生がみられた. これに対し, それ以後に採取した障害果では, その発生は健全果同様わずかであった. しかし, 3月下旬以後の採取果を一定期間5°Cに置き, 20°Cに移すと, 障害果からはエチレン発生のピークが認められた. ピークは低温に感応させることによって再び現われた. 従って, 果皮黄斑(はん)症の発生または進展には, 1つの要因として冬季の低温が関係し, 低温と高温の繰返しがそれを助長しているものと思われる.