抄録
カリフラワー及びブロッコリーの花らい形並びにその後の花らい発育に及ぼす種子低温処理の影響を, 温度制御条件下及び自然の温度条件下で調べた.
1. 低温感応苗齢に達した‘野崎早生’を15°Cで育てると, 30日後には花らいを形成するが, 20°あるいは25°Cでは48日後まで花らい形成は認められなかった.
2. ‘野崎早生’の催芽種子に0°C•暗黒で30日間の低温処理を行った後, 15°, 20°及び25°Cの制御条件で育てると, 20°Cでは種子低温処理区においてのみ花らい形成が認められ, 種子春化が起こったと推察される. 15°Cでは処理区, 対照区ともに花らいを形成し, 25°Cでは両区とも花らい形成がみられず, 種子低温処理の影響は認められなかった.
3. 早晩性の異なる7品種のカリフラワーと1品種のブロッコリーについて, 自然の温度条件下では種子低温処理による花らいの形成時期あるいは成熟時期の促進はほとんど認められなかった.
4. しかし, 種子低温処理期間の長いほど, カリフラワーの花らい節位は低下し, 茎長は短くなった. 同様に, ブロッコリーの花らい節位も種子低温処理によりやや低下し, 茎長は短くなった.
5. 種子低温処理期間の長いほど, カリフラワーの花らい重及び花らいの直径はやや抑制された. しかし, ブロッコリーの頂花らい重及び頂花らいの直径は, 低温処理期間の長いほど増加し, 株当たりの側花らい重及び側花らい数も増加した.