1979 年 48 巻 2 号 p. 195-198
ダイコンの柱頭上に, ブロッコリ又はキャベツの花粉を, 粉砕するか又はそのまま授け, その直後に自家受粉を行って, ダイコンの自家不和合性に及ぼすブロッコリ又はキャベツの花粉の影響を調べた. 得られた成績は, 柱頭法によって検討した.
ダイコンの柱頭上にブロッコリの粉砕花粉を授け, 後自家受粉した区においては, 単に自家受粉した対照区に比し, 柱頭上の花粉の発芽歩合はずっと高かった. 花粉管長も概して長くなり, かなり多数の花粉管は乳頭細胞内へ侵入した. また一部には空虚花粉粒も認められた. 無処理のブロッコリの花粉を授け, 後自家受粉した区においても, 粉砕花粉受粉区に劣らない成績が得られた.
ダイコンの柱頭上にキャベツの粉砕花粉を授け, 後自家受粉した区においては, 対照区に比し, 概して柱頭上の花粉の発芽歩合はかなり高かった. 花粉管もやや長くなり, 乳頭細胞内へ侵入したものもある程度認められた. しかしブロッコリの場合よりは短かかった. そして空虚花粉粒はほとんどみられなかった. 無処理のキャベツの花粉を授け, 後自家受粉した区においてもほぼ同様の成績が得られた.
これらの成績によると, 自家不和合のダイコンの柱頭上に, ブロッコリ又はキャベツの粉砕花粉又は無処理花粉を授けて後, 自家受粉すれば, 低度の自家和合性がもたらされるものと思われる.