抄録
数種観賞樹木の生育と休眠に及ぼす日長と冬期の低温の相互影響について, 2年間継続的に実験した.
1. イヌツゲでは16時間以上の日長で直線的に生長し, これ以下の日長では生長停止期が認められた. しかしクロマツでは日長時間による生長型の変更はみられなかった.
2. イヌツゲでは生長に対して低温要求性はなく, 長日下でおう盛な生長を継続し, 顕著な日長依存性を示した. トウカエデはイヌツゲと対照的で, 低温に遭遇しないと長日下でも休眠に入りやがて枯死した. そして低温に遭遇すると短日下でもおう盛に生長し, 顕著な低温依存性を示した. ネズミモチは相対的長日性で, 主枝の伸長に対して低温要求性はみられなかった. サンゴジュとクロマツは日長に対して相対的長日性, 低温に対して相対的要求を示し, ケヤキは中性•相対的低温要求性であった.
3. ネズミモチとクロマツは冬期の低温に遭遇しない場合, 長短両日長下とも, 側枝数が著しく減少した. またネズミモチとイヌツゲは低温遭遇した場合, 長短両日長下で半数以上の個体が開花した. これに対して低温に遭遇しなかった場合, 1個体も開花しなかった.