園芸学会雑誌
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ハルサザンカの起原に関する細胞遺伝学的研究 (第1報)
平戸における数種ツバキ属植物の減数分裂染色体について
上本 俊平田中 孝幸藤枝 國光
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1980 年 48 巻 4 号 p. 475-482

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抄録
九州の北西部に位置する平戸島には, ヤブツバキとサザンカが野生的に共存しており, 最近, 熊澤及び小田(21)によって, それらの間の自然雑種と見られる数株が見出された. これらはいずれもハルサザンカの範ちゅうに入れられるべき諸形質を示している. 著者らは, それらと同時に見出されたツバキの同質倍数体と考えられる株とともに, その成立過程を解明するため, 形態的, また細胞遺伝学的調査を行った.
その結果, ツバキ属の倍数系列から見て4倍体1株と3倍体2株を明らかにした. 4倍体はサザンカ (6x) とヤブツバキ (2x) との間の一次雑種とみなされ, 3倍体株のうち1株は, 前記4倍体ハルサザンカとヤブツバキとの交雑に起因する2次雑種と考えられ, 他の1株はヤブツバキの同質3倍体であった. それらは熊澤及び小田によって, それぞれ‘凱旋 (がいせん)’, ‘佐用媛 (さよひめ)’及び‘平戸大籔 (ひらどおおやぶ)’と命名されている.
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