園芸学会雑誌
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エンドウの春化とジベレリン
菅 洋
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1980 年 49 巻 2 号 p. 203-210

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抄録
エンドウは品種によって低温春化処理に感応し, 第一花着生節位が二, 三節低下する. 従来の研究によるとジベレリン (GA) 処理は, 春化, 非春化植物共に開花を遅延させ第一花着生節位を高くし, その効果は綾性品種ほど大きい. これら初期の研究において用いられたGAは種類についてはっきり記載はないが, いずれもGA3を主成分とした混合物であったと推定される.
我が国で栽培される品種中, 最も低温感応の高い品種の一つである渥美絹棊 (矮性) を用いて低温春化とGAの関係を検討した. 低温処理により第一花着生節位は, 2.4節低下した. 種子春化 (5°C, 20日間) により, 種子内及びそれから生育した植物葉条内の内生GAが増加するが, 開花後も草丈は非春化のものと同じである. エンドウ発芽種子及び葉条内の内生GAは, イネ苗生物検定において短銀坊主によく反応するが矮稲-Cには全く反応しない. このことは, この内生GAがジベレラン環C-3位に水酸基を欠くGAで茎伸長には活性の低いGAであることを強く示唆している.
一方, ジベレラン環C-3位に水酸基を有するGA3とGA7 (矮稲-Cにも反応する) を供試品種に与えると春化したものでも非春化のものでも, 茎伸長を著しく促進すると共に, 春化したものに与えたときは春化効果をキヤンセルし第一花着生節位を統計的に有意に高くした.
なお, 通気した水中で種子春化して得られるいわゆる"diffusate"にもGA活性が現われ特に春化種子より得られるGA活性と異なったピークが一か所出現した. しかし, これらのGAもすべて矮稲-Cには反応しなかった.
未熟種子を含む若い棊から得たGAには, 矮稲-Cに反応するGAが存在している.
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