抄録
NO3, NO3+NH4 (1:1), NH4, NO3+NO2 (1:1), NO2をN源として, 生育反応並びにNH4-Nおよび NO3-N蓄積における供試根菜の種類間差異を検討する ために, 水耕実験を行った. 処理は低N (2me/l) と高 N (12me/l) およびpH5と7を組合わせた. 処理期間 は3週間とした.
1. NO3, NO3+NH4をN源とした場合, いずれの 供試根菜とも生育は良好であった. 肥大根の発育は NO3+NH4区がNO3区をかなり上回わることが多かっ た.
2. NH4区における地上部の生育阻害は, ジャガイモ, ニンジンでは軽度であり, 葉中NH4-N濃度は低かった. これに対し, コカブ, ダイコンではNH4区での生育阻害が著しく, 葉中NH4-N濃度は高かった. しかし, 葉中NH4-N濃度が最も高かったのは, 生育反応においては上記両グループの中間であったハツカダイコンであった. NH4区で生育不良の作物では, 葉中NH4-N濃度が amide-N の数倍に達した.
3. NO3+NO2, NO2をN源とした場合, 根菜の生育阻害の程度は, 一般に, 培養液のpHは低いほうが, またN濃度は高いほうが大きかったが, 生育反応における種類間差異は明らかではなかった.
4. 葉中NO3-N濃隻は, 培養液のpHにほとんど影響されず, N形態および濃度に強く影響され, 高Nではコカブ, ダイコンで, 乾物中2%を超える高濃度を示した. また低Nの場合, NO3+NH4区はNO3区より低い葉中NO3-N濃度であったが, 高Nの場合は両区の間に差は認められなかった. 肥大根のNO3-N濃度は葉中よりかなり低かった.