園芸学会雑誌
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温室ブドウ“マスカット•オブ•アレキサンドリア”のほう芽と溢出液について
大川 勝徳
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1981 年 50 巻 1 号 p. 10-14

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抄録
ブドウ“マスカット•オブ•アレキサンドリア”のほう芽と春先から出る溢出液との関係を1978年に調べた. 溢出液は2月17日に出始め, ほう芽期に相当する4月11にその液量は最高に達した. その後急速に減少して, 5月下旬にはほとんど出なかった. 液のpHは2月下旬で6.22と高く, その後除々に低下し, ほう芽期には最低の5.51を示したが, その後は次第に回復した. 液の有機酸含量はpHの低下とともに増加し, ほう芽期では最高に達したが, その後は減少した.液中の糖類の主成分はフラクトースとグルコースであり, それに少量のシュークロースが検出された. 液の糖濃度は出始めの2月17日には高かったが, ほう芽期には激減した. そして, 1日当りに出た糖量は3月中~下旬に多く, ほう芽期には減少した.
3月17日~18日における昼夜の液量とpHとの関係を調べた結果, 液量は夜間に多く, pHは日没とともに低下し, 21時では最低の4.18を示した. そしてその後回復し, 夜明け直前に急速に上昇した. その間の有機酸含量は昼間低く, 夜間増加したが, 糖量はほぼ一定であった.
以上の結果から, ほう芽と樹液のpH特に有機酸含量の変化との間に何らかの関係があるものと思われた.
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