園芸学会雑誌
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テッポヴュリの親りん片ならびに新しい植物体の生育反応に及ぼすりん片植え付けの深さ及び施肥の影響
松尾 英輔有隅 健一川島 浩
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1981 年 50 巻 3 号 p. 342-349

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抄録

本実験では, 親りん片植え付けの深さならびに施肥の有無が, 親りん片から新しい植物体への養分移行や普通葉ならびに茎出根の発達, ひいては親りん片の生死, 仔球の生長に及ぼす影響を調べた.
親りん片上部の乾物率は下部のそれよりも早く減少したが, この傾向は深植え区よりも浅植え区で, また無肥区より施肥区で著しかった.
浅植え区では, 出葉仔球率と親りん片の枯死率はいずれも親りん片の乾物率の減少よりやや遅れて増加した. 一方, 深植え区では, 親りん片の乾物率の減少に続いて仔球の出葉が増え, 親りん片の枯死率はこれよりずっと遅れて増加した.
仔球着生, 出葉形態, 親りん片の枯死などについては, 施肥の有無による差異はほとんど認められなかった.
抽台個体 (ETPとHETP) の普通葉数はりん片植え付けの深さにかかわらずほぼ同じであったが, 施肥区では無肥区よりも多かった.
茎出根は, 深植えでは浅植えより約1か月早く11月末ごろから発生し, その数も多かった. また, 植え付けの深さのいかんにかかわらず, 無肥区よりも施肥区の茎出根数が多かった.
仔球の肥大状況をみると, 初期には施肥の有無にかかわらず, 浅植えの仔球は深植えよりもごくわずかではあるが大きかった. しかし5月になると, 深植えでは浅植えよりもその仔球は明らかに大きく, この場合, 施肥区の仔球は無肥区のそれより大きかった.
仔球の乾物率は, 仔球の age が進むにつれて大きくなる傾向があり, また, 無肥区の仔球乾物率は施肥区のそれよりも全般的に大きかった.
抽台個体 (ETPとHETP) と非抽台個体 (HTP) との間では, 仔球乾物率の差異は認められなかった.
12月から5月にかけての仔球の乾物率の増加は, 深植え施肥区で最も大きかった.
以上の結果から, 浅植えでは親りん片から新しい植物体への養分移行は深植えよりやや早いが, 茎出根の発生には浅植えよりも深植えの方が好ましい. 施肥は仔球の1次肥大には大きな効果をもたらさないが, 普通葉や茎出根の発生を促すので, 2次肥大にはきわめて有効であることが示唆される.

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