抄録
減圧の方法及び減圧の程度が収穫後の果実の品質に及ぼす影響を明らかにするため, トマト, モモ, ウンシュウミカン, リンゴ果実を密封式と通気式減圧法にて貯蔵した. その際の減圧度はトマト•モモの密封式では90Torrと30Torrの2段階, トマト•モモの通気式,ウンシュウミカン•リンゴの密封式と通気式では380Torr, 190Torr及び76Torrの3段階とした. また貯蔵温度はトマト•モモで11°C~12°C, ウンシュウミカン•リンゴで6°C~7°Cとした. さらにリンゴ果実を用い, 効果のある減圧度下での呼吸, エチレン生成に及ぼす影響についても明らかにした.
1. 果実の目減り
いずれの果実でも密封減圧区は常圧区より少なく, 逆に通気減圧区は常圧区より多かった. そして通気式の場合減圧度の大きい190Torr, 76Torrでは果実にしおれが認められた.
2. 果実の硬度•着色
トマト, モモ, リンゴでは密封•通気の両区とも減圧により果実の軟化が抑えられた. またトマト, モモでは, 各々果実の着色, 地色の黄色化も抑制された. しかしウンシュウミカンではこれらの傾向は明らかでなく, 逆に通気式の76Torrでは浮皮, ピッティングの発生, アルベドの黄化などの障害が認められた.
3. 糖, 酸含量
トマトでは密封式, 通気式ともに糖の増加•酸の減少が抑えられる傾向があり, 減圧が追熟を抑えるようであった. またモモ, リンゴの通気減圧区においても, 糖含量の減少が抑えられる傾向が認められた. しかしリンゴの密封減圧処理では, 果肉の褐変が発生したためかリンゴ酸の減少が著しかった.
4. アルコール含量
モモとリンゴでは程度の差はあるものの, 密封式では減圧により果汁のアルコール含量が増加し, 通気式では常圧区に比べてその含量がいくらか抑えられる傾向があった. 一方ミカンでは, 通気式で減圧度が大きくなるとともにその含量は著しく増加した.
5. 呼吸量, エチレン発生量
リンゴでは容器内の二酸化炭素及びエチレンの集積量は, 常圧区に比べ減圧区で極めて低かった. また通気減圧処理中の果実を常圧下に取り出した場合, 減圧処理区の果実で二酸化炭素, エチレンの発生の低いことが認められ, 出庫後の日持ちの延長が期待された.
以上のように, ウンシュウミカンでは減圧の効果が顕著でなく今後の検討を要するが, 他のトマト, モモ, リンゴではいずれも190~76Torr程度の減圧により追熟が抑制された.