1985 年 54 巻 1 号 p. 33-38
1973年9月3日から1974年1月28日まで, 約15日ごとに18年生の早生ウンシュウ‘興津早生’及び18年生の普通ウンシュウ‘シルバーヒル’果実を採取し, 果皮並びに果汁中エタノール, アセトアルデヒド含量を成熟現象との関連において調査し, あわせてこれら成分の消長が成熟指標になりうるかどうかを検討した.
早生, 普通ウンシュウの果汁及び果皮中エタノール並びにアセトアルデヒド含量は, 9月上旬から翌年1月下旬にかけて極めて緩慢に増加した. そして量的にも微量であり増加幅も狭小であった. 一方, 果汁中糖度/酸及び全糖/酸比率は両品種ともに9月上旬から翌年1月下旬にかけて著しく増加した.
これらのことから, エタノール並びにアセトアルデヒド含量の消長が糖/酸比率と同等に品質及び成熟判定の指標にはなりえないと考えられた.