抄録
ダイコンの2栽培品種「本橋系耐病美濃早生」と「美濃早生」の自家不和合性打破のため, 15種のアミノ酸, 2種のビタミン, 4種の植物ホルモン, 3種のフェノール物質を用いて処理を行った. 処理は各物質の水溶液に雌ずいを浸漬後自花受粉をし, 2か月後結実率, 種子数などを調査し, ダンカンのF検定により有意差の有無をみた.
その結果, 打破の効果は品種と濃度により差がみられた.「本橋系耐病美濃早生」ではアルギニン (100mg/l), セリン, チロシン (500mg/l), アラニン, バリン, システィン (1000mg/l), ロイシン (100, 1000mg/l), リジン, スレオニン, フェニルアラニン (500, 1000mg/l) が有効であった. 一方「美濃早生」は, アルギニン, ロイシン (100mg/l), ヒスティディン (1000mg/l) が有効であった. 植物ホルモン, ビタミンは結果を誘導し, 特に「本橋系耐病美濃早生」ではIAAが,「美濃早生」ではカイネチンが高い結果率を誘導したが, 有意差は認められなかった. フェノール類は効果がなかつた. しかしながらいずれの物質も, 単為結果を誘導した.