園芸学会雑誌
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アミノ酸, ビタミン及び植物ホルモン処理によるダイコンの自家不和合性打破
松原 幸子
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1985 年 54 巻 1 号 p. 46-57

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抄録
ダイコンの2栽培品種「本橋系耐病美濃早生」と「美濃早生」の自家不和合性打破のため, 15種のアミノ酸, 2種のビタミン, 4種の植物ホルモン, 3種のフェノール物質を用いて処理を行った. 処理は各物質の水溶液に雌ずいを浸漬後自花受粉をし, 2か月後結実率, 種子数などを調査し, ダンカンのF検定により有意差の有無をみた.
その結果, 打破の効果は品種と濃度により差がみられた.「本橋系耐病美濃早生」ではアルギニン (100mg/l), セリン, チロシン (500mg/l), アラニン, バリン, システィン (1000mg/l), ロイシン (100, 1000mg/l), リジン, スレオニン, フェニルアラニン (500, 1000mg/l) が有効であった. 一方「美濃早生」は, アルギニン, ロイシン (100mg/l), ヒスティディン (1000mg/l) が有効であった. 植物ホルモン, ビタミンは結果を誘導し, 特に「本橋系耐病美濃早生」ではIAAが,「美濃早生」ではカイネチンが高い結果率を誘導したが, 有意差は認められなかった. フェノール類は効果がなかつた. しかしながらいずれの物質も, 単為結果を誘導した.
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