園芸学会雑誌
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窒素濃度がキクの初期生育に及ぼす影響
景山 詳弘林 孝洋小西 国義
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1987 年 56 巻 1 号 p. 79-85

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抄録
比較的短期間の土耕及び水耕栽培により, キクの初期生育に対する培地内窒素濃度の影響を調べた.
土耕では, 摘心後16日目に12.5, 25, 50, 100, 200, 400g/m3のNO3-Nを与え, その後少量ずつ追肥して15日間 (7月14日~28日) 栽培した. 実験開始時の施用量が12.5~50g/m3の範囲では, いずれの区も同じように良く生育した. 100g/m3以上の区は生育が抑制された. 水耕では, 摘心後15日目 (8月12日) に培養液中のNO3-N濃度を50, 100, 200, 300ppmとし, 2日ごとに吸収量を補給しながら16日間栽培した. 窒素維持濃度が50~300ppmの範囲内では生育に差がなく, いずれの区もおう盛な生育を示した. また, 実験開始時は窒素を0ppmとし, 100ppm区の吸収量のみを2日遅れで与えた区も, 窒素濃度が低かった (0~21.1ppm) にもかかわらず100ppm区と同じように良く生育した. ただし, 重量増加は2日遅れた.
植物体内の窒素含有率は, 培地内の窒素濃度が生育に適正な範囲内にあるときはほとんど差がなく, その上限を超えると培地内の窒素濃度の上昇につれて高くなった.
以上から, キクの正常な初期生育のための適正な培地内窒素濃度は比較的低いところで範囲が広く, 吸収速度に合わせて施肥していけば, 0にならない限り低くてもよいと考えられる.
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