園芸学会雑誌
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脱渋方法の違いがカキ‘平核無’果実の収穫•脱渋後の品質及び貯蔵性に及ぼす影響
平 智久保 康隆杉浦 明苫名 孝
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1987 年 56 巻 2 号 p. 215-221

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抄録

カキ‘平核無’果実を用いて異なる脱渋処理 (アルコール脱渋, 炭酸ガス脱渋及び樹上脱渋) が収穫•脱渋後の果実の品質及び貯蔵性に及ぼす影響について20°Cと2°C条件下で調査•検討した.
1. 果皮の着色は樹上脱渋果では2°C貯蔵で抑えられたが, アルコール脱渋では20°C, 2°Cともほとんど差がなく進行した. 炭酸ガス脱渋果はそれらの中間的な様相を示した.
2. 貯蔵中の果肉硬度は樹上脱渋果は2°Cで硬度低下が抑えられた. アルコール脱渋果の硬度低下は炭酸ガス脱渋果より速かったが, 両脱渋果とも低温による硬度低下の抑制は認められず, 2°Cでも20°Cとほぼ同じ速さで軟化した. また, いずれの脱渋法によっても2°C貯蔵で貯蔵中果肉がしだいにゴム質化し, 水浸状を呈するようになって肉質が劣変した.
3. アルコール脱渋では, 貯蔵中も果肉にかなりの量のエタノールが残存していた.
4. 全糖含量はいずれの脱渋区とも貯蔵中ほとんど変化しなかったが, 非還元糖 (ショ糖) が徐々に減少して還元糖 (ブドウ糖及び果糖) が増加した. この変化は, 2°Cの方が緩やかであった.
5. 主として外観と果肉硬度から判断すると, 20°C貯蔵における果実の商品性保持期間は, 樹上脱渋>炭酸ガス脱渋>アルコール脱渋の順に長かった.
6. 以上の結果をふまえて, 脱渋方法と果実の食味•品質について若干の考察を行った.

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