園芸学会雑誌
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ハルサザンカの起源に関する細胞遺伝学的研究
III. 自家不和合性利用による類似品種の同定
田中 孝幸
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1988 年 56 巻 4 号 p. 452-456

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抄録

ツバキ属植物が自家不和合性を持つことを利用して‘凱旋’と類似品種の同定を次のような考えで行った.すなわち, 1) A×Bの交雑で結実が見られない時, AとBとは同じクローンであるか, または偶然に同じ自家不和合遺伝子を持っている, 2) A×Bの交雑で結実が見られた時, AとBとは異なるクローンである. このことを利用して, ‘紅玲’, ‘楊貴妃’と‘凱旋’とが同じクローンであろうと推定した. その検定期間を短縮し, より正確なデータを得るため, 柱頭内での花粉管の伸長と胚珠内での受精の有無を調べた. 後者の方法で, 受粉後9日目から自家授粉と他家授粉との区別が明らかとなった.

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