園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
食用ギクおよびツマギクの染色体数について
遠藤 元庸稲田 委久子
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 59 巻 3 号 p. 603-612

詳細
抄録

1. 食用ギクおよびツマギクの遺伝的特性を明らかにするため, 染色体の面から品種分化の実態を検討し, あわせて異名同品種の整理を行った.
2. 供試材料には食用ギク133点, ツマギク32点を用いた. 染色体数および生態•形態的特性調査に基づき, 食用ギクは65品種に, ツマギクは30品種に整理された. 染色体数の調査により次の知見が明らかになった.
3. 染色体数は食用ギクでは2n=53~66の, ツマギクでは2n=51+B~55の範囲で変異が認められ, それらのモードはいずれも2n=54であった. 染色体数の変異の様相から, 食用ギクおよびツマギクの品種は観賞用または切花用ギクから派生したものと推定される.
4. 同一の品種または系統の個体内で染色体数の異なる細胞が, さらに同一品種の個体間または系統間では染色体数が1~2個, まれに3個異なる個体が見いだされた.
5. B染色体は食用ギクでは4.5%, ツマギクでは3.1%の頻度で見いだされた.
6. 異名同品種は, 合計26品種の食用ギクおよびツマギクにおいて1品種当り2~9点ずつ見いだされた.
7. 食用ギクでは染色体数と開花期あるいは花径との関係が若干認められた.

著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top