園芸学会雑誌
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光照射および貯蔵温度がバレイショの緑色化とグリコアルカロイド含量に及ぼす影響
小机 信行水野 進
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1990 年 59 巻 3 号 p. 673-677

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抄録

本研究はバレイショ塊茎の皮層部切片を1°, 5°, 10°および15°Cに貯蔵し, 光照射した場合と, 暗黒下に貯蔵した場合のクロロフィル(Chl)およびグリコアルカロイド(PGA)含量を測定するとともに, 光照射が部分被覆した塊茎の皮層部および髄質部のChl, PGA含量に及ぼす影響について調査したものである.
1. バレイショ塊茎皮層部切片を1°, 5°, 10°および15°Cに貯蔵し, 光照射と暗黒下におけるChlおよびPGA含量を測定したところ, 光照射の1°および5°Cでは貯蔵10日後でも緑色は認められず, ChlおよびPGAも貯蔵期間を通じて変化しなかった. 10°C貯蔵で, 4日後より光照射区で緑色が観察され, ChlおよびPGA含量も緑色の進展により増大した. 一方, 15°C貯蔵では2日後より緑色が認められ, 貯蔵に伴ってその程度は増大しChl含量も増加した. また, PGAはChl含量の増加とともに急増した. なお, 光照射により, α-チャコニンおよびα-ソラニンの両物質がともに増加したが, α-ソラニンの増加の割合が顕著であった.
2. バレイショ塊茎の縦半面をアルミホイルで被覆し, 15°C-7日間光照射したところ, 被覆側の皮層部のChl含量は暗黒下で貯蔵したものより高かったが, 照射側の値よりも低かった. 一方, 被覆側の皮層部のPGA含量は照射側と比較すると低く, 暗黒下で貯蔵したものとほぼ同程度の含量であった.
3. 以上のことから, バレイショ塊茎を貯蔵する場合, 少なくとも10°C以下で, しかも極力光を遮断した状態で貯蔵することが望ましいと思われる.

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