園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
数種のカキ属植物とカキ品種における耐凍性とアントシアニン形成との関係
冷 平板村 裕之山村 宏
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 61 巻 4 号 p. 795-804

詳細
抄録

カキ属植物3種とカキ3品種の耐凍性を低温処理後の切り枝の生存率と電解質浸出率で比較した. 厳冬季の耐凍性は台東マメガキ (D. taitoensis) <カキ (D.kaki) <マメガキ (D. lotus) の順に大きかった. カキ属3種の安全限界温度は台東マメガキー10°C, カキ('富有') -15°C, マメガキ-20°C, LT50はそれぞれ-2°, -20°, -25°Cであった. カキ属3種のLT50における電解質浸出率は25~28%の範囲にあった.
カキ3品種'平核無', '富有', '西条, の中では, 日本北部原産の'平核無'は厳冬季の"'真の耐凍性"が最も大きかったが, ハードニング前後の初秋や早春の耐凍性は最も劣った.
自然条件では, カキ3品種ともに12月中旬~1月中旬に枝のデンプン含量は減少し, 糖含量が高まったが,枝の皮層部アントシアニン含量は2月上~中旬に最高に達した. 自然気温の最低値は-5°Cであったが-5°C以下の低温によっても枝のアントシアニン含量は高まる傾向があった. 厳冬季に昇温し, デハードニングすると急速に耐凍性が失われ, アントシアニン含量が低下した. また秋季のハードニング前に枝を低温処理すると, 急激に耐凍性が増し, アントシアニン含量が高まった.

著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top