園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
培養器内相対湿度がバレイショ (Solanum tuberosum L.) 培養小植物体の生長およびシュート伸長に及ぼす影響
古在 豊樹田中 幸治鄭 乗龍富士原 和宏
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 62 巻 2 号 p. 413-417

詳細
抄録

培養器内の相対湿度がバレイショ小植物体の生長,特にシュートの伸長に及ぼす影響について調べる実験を行った。小植物体は, 異なる4つの相対湿度下で培養された。相対湿度の調節は, 蒸留水または異なる3種類の飽和塩溶液を用いて行われた。培養器の換気回数は, 0.95hr-1であった。培養は, 気温25°C, 相対湿度75%, 明期16hr•day-1, 明期光合成有効光量子束密度100μmol•m-2•sec-1に維持されたチャンバー内において行われた。すべての培養器内の明期CO2濃度を350μmol•mol-1以上に維持するために,培養期間中に明期におけるチャンバー内のそれを550から1400μmol•mol-1まで経日的に高めた。
すべての試験区において, 培養器内相対湿度は外植体が生長するにつれて上昇し, また, 試験区間の相対湿度差は減少した。シュート長は, 相対湿度が低い試験区ほど小さかった。最も小さいシュート長は最も低い相対湿度区で観察され, その値は35mmであった。他方, 最も大きいシュート長は最も高い相対湿度区で観察され, その値は52mmであった。小植物体1本当りの乾物重には, 試験区間差は認められなかった。培養器内相対湿度を幾分低下させることで, 乾物重を小さくすることなく, 健丈な移植用培養苗を生産し得ることが示された。

著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top