園芸学会雑誌
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外生エチレンによるバナナ果実の追熟に及ぼす高濃度炭酸ガスの影響
久保 康隆辻 宏之稲葉 昭次中村 怜之輔
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1993 年 62 巻 2 号 p. 451-455

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抄録

緑熟バナナの追熟を指標として, 高CO2環境によるC2H4の作用性の抑制程度を検討した.
1.ガス処理区として, 0~80%CO2と1~100ppmC2H4を組み合わせた計18区と無処理区を設けた. 24時間所定のガス処理を行った後, 空気下に移し, 果色変化を調査した. いずれの濃度のCO2処理でも外生C2H4による着色誘導を完全に阻害することはできなかったが, 処理C2H4濃度が一定ならばCO2濃度が高いほど果皮の着色がやや遅れる傾向を示した.
2.ガス処理区として, 60%CO2と空気の1~100ppmC2H4を組み合わせた計6区と0~60%CO2に1ppmC2H4を組み合わせた計5区を設けた. 緑熟バナナに20時間空気を通気した後, 所定のガスを70時間通気し, ガス代謝自動計測装置を用いてO2吸収量を連続的に測定した. 呼吸のクライマクテリックラィズ開始時期はいずれのCO2.C2H4処理区でも空気下でのC2H4処理区と全く同じであったが, その後のクライマクテリックライズの進行はCO2濃度が高いほど遅れ, またピーク値も低下した. 呼吸クライマクテリックが進行し食味からみた果肉の追熟が部分的に進行した60%CO2-100ppmC2H4区でも, ガス処理終了直後の果色は完全に緑色のままであった.
以上の結果から, C2H4の作用性に対するCO2の抑制程度は, 追熟誘導, 追熟進行, 果皮の着色など発現する生理現象の種類によって異なることが示唆された.

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