園芸学会雑誌
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ウメ種子に含まれる青酸配糖体の消長
大坪 孝之池田 富喜夫
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1994 年 62 巻 4 号 p. 695-700

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抄録
ウメの品種'月世界', '豊後', '梅郷'を用いて, 種子の青酸配糖体をHPLCにより分析し, つぎのような結果を得た.
1.種子の青酸配糖体の含有量は果実の収穫時までに経時的に増大した. その際, 種子の発育初期にはプルナシンが多く, アミグダリンはほとんどないが, 収穫期にはその大部分はアミグダリンであった. アミグダリンの最高の含有率は収穫時の種子で得られ, 新鮮重の約4.7%であった. プルナシンは5月中旬にみられ, 約1%であった. 種子の成熟時には, プルナシン含有組織の胚乳は消化された.
2.胚乳のプルナシ含有率が激減し, 胚のアミグダリン含有率が激増する時期は, ウメ果実の2重S字曲線を示す発育パターンのうち, 肥大緩慢となる期間に相当した.
3.品種のうち, 青酸配糖体の生成能力の高い品種は'豊後'であり, ついで'梅郷', '月世界'の順位であった. この順位は開花の早晩とは逆の順位であり, 遅咲性品種ほどアミグダリンの含有率が高かった.
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