園芸学会雑誌
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イチゴ果実の大きさに及ぼす温度の影響
三浦 周行吉田 澪山崎 篤
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1994 年 62 巻 4 号 p. 769-774

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抄録

イチゴ'とよのか'を10月から昼夜とも15°Cあるいは19°Cに制御したガラス室内で育てた. 受粉数日後から第1果房すべての果実 (1番果~5番果) の直径を約1日おきに計測し, 全体が着色した果実を採取し, 重さを調査した. 果実の短径の推移から見た生長は, 両区のいずれのランクの果実も前期と後期の二回急速であり, 二重S字型曲線をとり, 早期に発達した上位ランクの果実ほど, また15°C区より19°C区の方が急速であった. 全果実の平均重量は新鮮重, 乾物重とも両区で上位ランクの果実ほど大きく, 両区を比較すると15°C区の方が19°C区より大きく, 乾物重ではそれぞれ0.879gおよび0.774gであった. 株当たり果実数は19°C区でわずかに少なく, 総果実重量は新鮮重, 乾物重とも19°C区で著しく小さかった.1株における, 最初の花の開花から最後の果実の着色までの日数は15°C区で88日, 19°C区で69日であり, その期間中の1日当たり乾物重増加量を推定したところ, 15°C区で0.170g, 19°C区で0.151gであった. 以上の結果から, 高温の19°C区で成熟果実のサイズが小さかったのは着果数の増加によるのではなく, 果実における乾物の蓄積が遅いことによるものと考えられた.

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