抄録
台木の種類と果実品質の関係を知るために, カボチャ台スイカの木部いっ泌液中の無機成分濃度とサイトカイニン活性を, スイカ自根およびユウガオ台スイカを用いて比較した. またあわせて着果数の影響を検討した.
1) カボチャ台スイカはユウガオ台や自根に比べると生育が旺盛であった. また, ユウガオへの接ぎ木によって第1雌花着果節位が低下した. カボチャ台スイカの果実は果肉が硬く, 肉質がユウガオ台や自根に劣った.
2) 木部いっ泌液な, (1) 栄養生長期, (2) 開花14日後,(3) 果実成熟時の3回採取し, 無機成分を分析した. カボチャ台は, 自根とユウガオ台に比較すると, 果実成熟にいたるまで無機成分濃度の低下がみられず, 一方ユウガオ台では果実成熟に伴って特にカチオン濃度がカボチャ台に比べて低下した.
3) 着果数を1から2に増した場合, 開花14日後の各成分濃度は, ユウガオ台, カボチャ台ともあまり影響がみられなかったが, 果実成熟時にはユウガオ台で低下する傾向が認められ, カボチャ台では低下した成分はなく, むしろ増加する成分もあった.
4) 開花14日後のいっ泌液中のサイトカイニン活性はほとんどがリボシルゼアチン分画にあり, ユウガオ台や自根に比べてカボチャ台が顕著に高かった. また,着果数の増加によりユウガオ台, カボチャ台ともに活性は低下したが, カボチャ台はユウガオ台に比べ低下の度合いは小さかった. 開花14日後の無機成分濃度は, 着果数の影響をあまり受けていなかったことから考えると, 根におけるサイトカイニン生成は, 養分吸収などの機能に先立って, 地上部からの同化産物供給の影響を強く受ける機能であると考えられた.
5) 以上の結果から, カボチャ台スイカにおける養分吸収やサイトカイニン生成などの根の機能は, 栄養生長期から果実成熟期までの期間を通じてユウガオ台や自根より高く, また着果負担の影響も小さいと考えられた. カボチャの根におけるこれらの機能的特徴が,果実品質の低下にどのように関与しているかについては今後の検討が必要と考えられた.