園芸学会雑誌
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ハナショウブの培養された花器における苗条形成
河瀬 晃四郎水谷 博吉岡 麻理福田 園子
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1995 年 64 巻 1 号 p. 143-148

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抄録
ハナショウブの増殖を目的に, 雌ずい, 花被, 雄ずい, 商, 花糸, 花被•子房接合部 (花被と子房が接合した部分), 子房および小花梗を外植体とし, BAおよびNAAを添加したMS培地でそれらの培養を行った.
苗条形成は花被と子房の接合部切片および子房切片で認められたが, これらを除く他の切片における苗条形成は認められなかった. これらの切片における苗条形成は, BAおよびNAA添加培地でのみ認められ,特に子房の下部切片の場合は, BAおよびNAAの5mg•liter-1添加培地で培養した場合にのみ苗条の形状が認められた. 花被と子房の接合部切片における苗条形成率は子房切片よりも高かった.
根の形成は子房および小花梗を除いた他の外植体では認められなかった. 子房の下部切片の場合, BAおよびNAAを添加した培地では, すべての外植体で発根が認められたが, 上部切片は1mg•liter-1の濃度でBAおよびNAAを添加した培地でのみ発根した. 小花梗ではBAおよびNAAの無添加培地においてのみ根の形成が認められ, その形成率は33%であった.
カルス形成は子房および雄ずいで認められた. BAおよびNAAの両者を添加した培地では, すべての子房切片でカルス形成が認められた. 雄ずいはBAおよびNAAの5mg•liter-1添加培地でのみカルスを形成したが, 形成率はわずか11%であった.
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