園芸学会雑誌
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アリウム•コワニーの生育と開花に及ぼす温度の影響
古平 栄一森源 治郎今西 英雄
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1996 年 64 巻 4 号 p. 891-897

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抄録

アリウム•コワニーの無加温ハウス栽培における生育, 開花習性を明らかにするとともに, 開花に及ぼすりん茎の貯蔵温度および栽培温度の影響について調べた.
りん茎を入手した6月中旬には, りん茎内に3枚の未展開葉が形成されており, 生長点は7月上旬までに葉を1枚分化した後, 葉の分化を停止した. 茎頂は9月中旬に生殖生長に移行し, 第1花序を分化した. この花序は, 10月上旬に小花原基形成期, 11月中旬に外•内雄ずい形成期, 12月上旬に雌ずい形成期に達し, 翌年の2月中旬に開花した. また, 第2花序は, 10月中旬に茎軸の最上位葉の葉えきから仮軸分枝した茎軸の茎頂に分化し, 翌年の3月上旬に開花した.
7月1日から10月1日まで温度条件を15°, 20°,25°および30°Cと変えて乾燥貯蔵すると, りん茎の第1花序の発育は15°Cおよび20°Cで最も促され,25°Cではこれらよりやや遅れた. また, 8月1日から9°, 15°, 20°, 25°および30°Cで貯蔵した場合にも同様の傾向が認められた. 7月1日, 8月1日両貯蔵開始処理ともに, 30°C区では過半数のりん茎が花芽未分化にとどまった.
これら種々の温度区で貯蔵したりん茎を10月1日に植え付け, 最低10°Cの加温室で栽培した結果, 7月1日貯蔵開始処理では, 20°, 25°および30°Cの各温度区では大部分のりん茎が開花したが, 15°C区では開花率が低かった. しかし, 8月1日貯蔵開始処理では9°~30°Cの温度下で開花が認められた. 両貯蔵開始処理ともに, 貯蔵温度が低い区ほど開花が促進されたが, 1りん茎当たりの開花花序数は減少した.
栽培時の夜温20°C区では, 10°C区に比べて第1花序, 第2花序いずれも開花期は促進されたが, 開花時の花茎が短く, 小花数が少なくなった.

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