1996 年 65 巻 2 号 p. 297-302
リンゴ苗の育成におけるarbuscular菌根(AM)菌[GtσmusetZtnicαtum(GE)およびGigasPoramargaritα(GM)]の利用について検討するため,リンゴ(iN4aluspttmitaMill,var.dom.esticaSchneid.)の8品種('旭','祝,紅玉','ゴールデンデリシャス','スターキングデリシャス','ふじ','陸奥','幽レッドゴールド')およびミツバカイドウ(MαttcssieboldiiRehd.)の実生の生長に及ぼすAM菌接種の影響について調査した.
接種8週間後,AM菌の感染は全ての品種•菌種の組合せにおいてみられた.リンゴの9品種における感染部位率(1個体の根系における感染部位の割合)は,GE接種区では31.7%('ゴールデンデリシャス')-50.5%('紅玉')に達し,GM接種区では24.0%(ミツバカイドウ)-50.7%('スターキングデリシャス')となった.GE感染個体では,草丈,地上部および根の乾物重は,全ての品種において無接種個体のそれを大きく上回った.GE感染個体では,ゴールデンデリシャス'およびミツバカイドウを除く他のものにおいて,それらの値が無接種個体を大きく上回った.両菌種において,共生関係成立による生長促進効果は'旭で最も大きく現れた.感染植物体の地上部および根におけるリン濃度は,菌種に関わらず,無接種個体のそれより顕著に高かった,この場合,その差は地上部より根において大きかった.
このように,AM菌(GEおよびGM)の感染および共生関係成立による植物体生長促進効果が数種リンゴの実生において認められたことから,リンゴ苗の育成過程において,AM菌接種による健苗の育成が期待される.