抄録
DNAの微量抽出法を改良し,ネギ属植物の少量の葉(2~4 mg)でも適用できるようにした.この方法によるAllium tuberosum'テンダーポール'の葉からの粗抽出物DNAの増幅パターンは,より厳密な抽出法であるSDS微量抽出法で得られたDNAの増幅パターンとほぼ同じであった.
PCR-RAPD法の4つのプライマーを使ってDNAを増幅したところ,'テンダーポール'3個体,種間雑種(A.chinense G.Don×A.thunbergii G.Don)の5個体,そしてこれらの3種間の雑種7個体から合計で186のバンドが得られた.3種間の雑種は7個体中6個体で花粉親特有のバンド(Mbands)を49本有していた.一方,58本のバンドが子房親と3種間雑種植物で共有してみつかった(Fbands).これら雑種7個体のうち1個体だけはMbandsを1本ももたなかった.これは,雑種でないことを示している.残りの6個体にはMbandsが認められ,雑種であると確認された.