園芸学会雑誌
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切断傷害によるストレスがピーマン果実のアスコルビン酸代謝に及ぼす影響
今堀 義洋周 燕飛上田 悦範阿部 一博茶珍 和雄
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1997 年 66 巻 1 号 p. 175-183

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抄録
切断傷害によるストレスが青果物のアスコルビン酸代謝に及ぼす影響について'ゴールデンベル'ピーマン果実を用いて20°C保存中の変化について検討した.
1.アスコルビン酸含量は20°Cに保存した緑熟果および黄色果の両熟度とも切断傷害による影響はなかったが, 酸化型アスコルビン酸含量は切断傷害により増加し, 保存中も高いレベルを維持した.
2.過酸化水素含量は両熟度とも切断傷害により保存24時間まで幾分低いレベルを示し, その後無切断果実のレベルまで回復した.
3.アスコルビン酸ペルオキシダーゼ活性は両熟度とも切断傷害による影響はなかったが, モノデハイドロアスコルビン酸還元酵素活性は黄色果では切断傷害により一時増加し, 緑熟果では影響されなかった.しかし, 酸化型アスコルビン酸還元酵素活性は両熟度とも切断傷害により一時増加した.
4.カタラーゼ活性, グルタチオン還元酵素活性およびL-ガラクトノ-γ-ラクトン脱水素酵素活性は両熟度とも切断傷害により一時増加した.
以上の結果から, 切断傷害のストレスによってアスコルビン酸生合成系の誘導あるいはアスコルビン酸還元反応の活性化がなされ, アスコルビン酸が高いレベルで維持されることが示唆される.
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