園芸学会雑誌
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パクロブトラゾールの処理と水ストレスがポンカン (Citrus reticulata Blanco) の樹体発育と光合成に及ぼす影響
マター メベロ冨永 茂人小崎 格
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1998 年 67 巻 1 号 p. 28-34

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抄録

GA生合成阻害剤であるパクロブトラゾールの葉面散布および土壌処理と水分ストレス処理がポンカン幼木の発育と着花ならびに光合成に及ぼす影響について検討した.パクロブトラゾール処理は春梢長が約5mmの時に行い, 葉面散布は840ppm液を地上部に, 土壌処理は1樹当たり成分0.5gを土壌表面に散布した.水分ストレスはpF=2.95まで徐々に土壌を乾燥し, その後灌水した.水分ストレスは結実率を向上させたが, パクロブトラゾール処理は結実率を低下させた.パクロブトラゾール処理では奇形花が増加した.パクロブトラゾール処理に水分ストレス処理を組み合わせると奇形花は無くなった.無処理樹では秋までに樹高が約85%増加したのに対して, パクロブトラゾール処理樹では, 土壌処理で約14%, 散布処理で約60%しか増加しなかった.水分ストレス処理樹では葉の大きさが約20%減少し, 光合成も減少した.そして, 樹の発育も抑制された.パクロブトラゾール処理樹では水分ストレスによる光合成と蒸散の低下の程度が低く, 灌水後の回復も早く, パクロブトラゾール処理は水分ストレス処理の影響を緩和した.気孔伝導度は処理による差はなかった.

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