抄録
ウドの品種'愛知坊主'の懸濁培養細胞から効率的に不定胚誘導を行うため, 培養細胞の継代培養条件と数種類のジャーファーメンター型培養槽により誘導される不定胚の数と形状について検討した.不定胚形成能の高い培養細胞は, 0.5 mg・liter-1の2, 4-Dを添加したMS液体培地(30 g・liter-1ショ糖添加)を用い, 3週間ごとに継代することで維持できた.各種培養槽で誘導された不定胚数は, 培地量100ml当たりエアーリフト型と回転ドラム型でいずれも約189個, 気泡塔型では約124個得られた.また, 水平回転培養により三角フラスコ(100ml容)で得られた不定胚数は, 各培養槽と比較して単位容量当たり3.5∿5.3倍多く得られた.しかし, 誘導された不定胚の形状をみると, 正常胚の割合は各培養槽とも95%以上と高かったが, フラスコでは66.3%と低かった.これらのことから, エアーリフト型または回転ドラム型の培養槽を用いると形状の良い不定胚が効率的に誘導できることが明らかとなった.