1998 年 67 巻 3 号 p. 337-340
赤色光(R)または遠赤色光(FR)の透過率の低い2種類の被覆資材を利用してR/FR比を調節し, その変化がワケギの鱗茎形成に及ぼす影響について検討した.試験は春と夏の2回, 圃場で生育中のワケギに資材を被覆処理する形で行った.被覆装置内のR/FR(660±5nm/730±5nm)光量子束密度比は対照区(透明資材+白寒冷紗), R減少区およびFR減少区でそれぞれ1.00, 0.53, 1.73であった.両試験ともFR減少区でワケギの鱗茎新鮮重, 鱗茎乾物率および肥大指数(鱗茎径/首部径)が低くなり, 鱗茎の発達はFR減少区, すなわち高R/FR条件において抑制された.この効果は春試験より夏試験においてより顕著であった.対照区とR減少区の鱗茎の発達程度には大きな差がみられず, 低R/FR条件の鱗茎発達に及ぼす影響は明らかでなかった.