園芸学会雑誌
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単為結実のカキの幼果における ABA, IAA および GA 様物質の内生量の変化
児島 清秀潮崎 圭司児下 佳子石田 雅士
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1999 年 68 巻 2 号 p. 242-247

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抄録
単為結実のカキ'平核無'の子房/幼果を開花前5日から開花後122日まで採取し, アブシジン酸(ABA)とインドール酢酸(IAA)はガスクロマトグラフー質量分析計で, ジベレリン(GA)様物質はわい性イネの生物検定で各内生量を測定した.幼果は開花後41日をピークとして13∿62日に集中的に落果した.幼果の相対的な生重量の増加は, 開花後41日までは急激で, 以後はゆるやかであった.がくの生重量の増加は開花後13日までにほぼ終わった.幼果のABA濃度は開花日から28日後まで高く, その後低下した.がくのABA濃度は開花後13日にすべての分析値中の最高値であった.子房中のIAAは, 開花前5日と比べて開花日に含量が約18倍に増加して高濃度を示し, 開花後13日には含量が半分以下に減少して濃度も急低下した.幼果のGA様物質の濃度も, 開花日に高い値を示し, その後41および122日に上昇した.開花前5日のつぼみではがくの3種類の植物ホルモンは濃度および含量とも, 子房よりも高い値であった.以上の結果から, カキの単為結実の幼果では開花時のIAAおよびGA様物質の遺伝的な増加が幼果の生長を継続させること, ならびにその後の幼果中のABA濃度の上昇およびIAAとGA様物質の濃度の低下が共同的に落果を促進することが示唆された.
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