園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
イチジク果実の糖含量・糖組成比の品種, 果実内部位および結果節位間における相違
矢羽田 第二郎野方 仁
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 68 巻 5 号 p. 987-992

詳細
抄録

イチジク果実の糖含量と糖組成比について, 秋果および夏果の品種間差異, 果実の部位, 結果節位による相違を検討し, 以下の結果を得た.1. 供試した普通型10品種の秋果と, サンペドロ型3品種および普通型1品種の夏果のすべてで, 小果の全糖含量に占める果糖, ブドウ糖の合計値の割合が90∿95%以上に達し, ショ糖の割合は低かった.しかし, 糖組成比の品種間差異はショ糖で顕著に認められた.2. '桝井ドーフィン'と'蓬莱柿'の秋果では, 成熟期に小果, 果托の果糖, ブドウ糖含量が急増するとともに, 全糖含量に占めるブドウ糖の割合が低下して果糖の割合が高まった.収穫期における糖組成比は, 両品種とも小果, 果托の間に有意な差がなかった.3. 小果, 果托の重量は, 収穫前の約2週間で急激に増加し, その際, '桝井ドーフィン'は果托, '蓬莱柿'は小果の重量が大きくなった.小果, 果托の重量から換算した部位別の糖含量は成熟期に急増し, とくに小果の重量が大きくなった'蓬莱柿'では, 小果の各組成糖の含量が果托に比べて顕著に多くなった.4. '桝井ドーフィン'と'蓬莱柿'の秋果では, 結果節位が高い果実で, 小果の全糖に占めるショ糖の割合が高くなった.結果節位の上昇に伴う糖組成比の変化には, 秋季の気温低下が影響していると考えられた.

著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top