園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
ビワ果実の生長・成熟に伴う NAD+ 依存性ソルビトール脱水素酵素と NADP+ 依存性ソルビトール-6-リン酸脱水素酵素の遺伝子発現
/ 山田 邦夫丹羽 宣子白武 勝裕山木 昭平Shohei Yamaki
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 69 巻 3 号 p. 231-236

詳細
抄録

ビワ果実の生長・成熟に伴うNAD+依存性ソルビトール脱水素酵素(NAD-SDH)とNADP+依存性ソルビトール-6-リン酸脱水素酵素(S6PDH)の遺伝子レベルでの発現調節を検討した.最初にNAD-SDHのcDNA遺伝子をビワ果実から単離した.cDNAの全長塩基配列は1572bp, そのタンパク質は371個のアミノ酸残基からなり, リンゴ果実のものと97.8%の相同性があった.NAD-SDH活性は果実の生長・成熟の進行とともにその発現が調節されており, そして, そのタンパク質の変動は活性の変動と一致し, 翻訳後の修飾は認められなかった.さらに, そのタンパク質の変動はmRNAの発現量の変動とも一致し, この酵素活性の主要な制御段階はmRNA合成レベルであることを示唆した.成熟に伴うNAD-SDHの遺伝子レベルでの発現は, 果実の成熟および糖の集積に特に重要であることを示した.果実の生長・成熟に伴うS6PDH活性の変動はNAD-SDH活性の変動と同様な傾向を示した.その活性の変動はタンパク質及びmRNAレベルでの変動と一致し, NAD-SDHと同様この酵素活性は主にmRNA合成レベルで調節されていることを示唆した.しかしながら, 果実でのS6PDHの役割についてはまだ明らかではない.

著者関連情報
© 園芸学会
次の記事
feedback
Top