園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
j-2in 遺伝子を有するガラパゴス産野生種トマトの小花柄における離層の形成と発達
田淵 俊人伊藤 信二新井 紀子
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 69 巻 4 号 p. 443-445

詳細
抄録

j-2in遺伝子を有して小花柄に離層を形成しない系統LA1402と, ガラパゴス産野生種トマトで正常に離層形成・発達する系統LA317を供試した.開花時に花を切除して小花柄の脱離時期を比較した結果, LA317では処理後5日目で全ての小花柄が脱離したが, LA1402では脱離しなかった.LA1402の小花柄の脱離は処理後5日目に始まり, 16日目にすべて脱離した.離層細胞の分化開始時期は, LA317ではがく片形成期で, LA1402では心皮形成期であった.開花時の離層細胞は, LA317では軸方向に扁平で離層の表皮組織が小花柄の中心部に向かって著しく窪んでいたが, LA1402では離層細胞が球状で離層の表皮組織の窪みの程度がわずかであった.従って, j-2in遺伝子を有するトマトLA1402の小花柄が脱離しにくいのは離層細胞の分化開始時期が遅く, その後の発達が不完全であることに起因しているものと推察された.

著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top