園芸学会雑誌
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ニホンナシ果実の生長成熟過程におけるスクロース蓄積に関係するスクロース合成酵素アイソザイム
棚瀬 幸司山木 昭平
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2000 年 69 巻 6 号 p. 671-676

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抄録

ニホンナシ果実のスクロース代謝酵素, 特にスクロース合成酵素(SS)アイソザイムとスクロースの蓄積との関係について, 果実の生長成熟過程を通して調べた.果実におけるスクロース含量は, 未熟果では非常に少なく果実の成熟に伴って急速に増加した.このときスクロース6リン酸合成酵素活性も増加した.また, 可溶性酸性インベルターゼおよび細胞壁結合型酸性インベルターゼ活性は未熟果では高かったが, 果実生長と共に減少した.一方, SS活性は未熟果で高く, 果実生長と共に減少したが, 成熟期でのスクロース蓄積と共に再び増加し, これにはスクロースの蓄積を伴っていた.これらの活性の変化はSSアイソザイム, 即ちSSIとSSIIによるものであった.SSI活性は未熟果で高く, 果実生長と共に減少した.これに対し, SSII活性は未熟果で低く, 成熟に伴って増加した.以上の結果より, 成熟に伴うスクロース蓄積はSSII活性の発現に起因していることが示唆された.

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