園芸学会雑誌
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ピーマン果実の成熟に伴う過酸化水素含量と抗酸化酵素の活性の変化
今堀 義洋兼常 康彦上田 悦範茶珍 和雄
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2000 年 69 巻 6 号 p. 690-695

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抄録
ピーマン果実の成熟に伴いクロロフィル含量はGreenからYellow/Greenの熟度段階において徐々に減少し, Yellowの熟度段階で著しく減少した.対照的に, カロテノイド含量は熟度の進展に伴って徐々に増加した.ピーマン果実の成熟に伴う過酸化水素含量はGreen/Yellowの熟度段階で著しく増加し, その増加量はGreenの熟度段階の2.5倍であり, Yellow/Greenの熟度段階とYellowの熟度段階でやや減少したが, それら両方のレベルはGreenの熟度段階より高かった.ピーマン果実の成熟に伴うスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の活性はGreenからYellow/Greenの熟度段階で増加し, アスコルビン酸ペルオキシダーゼ(APX)の活性もGreenからYellow/Greenの熟度段階で増加した.ピーマン果実の成熟に伴うSODとAPXの活性変化の傾向は, 過酸化水素含量の変化の傾向と同じであった.ピーマン果実の成熟に伴うグルタチオン還元酵素(GR)の活性はGreenからGreen/Yellowの熟度段階で増加した.しかしながら, ピーマン果実のカタラーゼ(CAT)における活性の変化は, 成熟中ほぼ一定であった.これらの結果はピーマン果実の成熟に伴い過酸化水素が蓄積し, そのために抗酸化酵素の活性が高められたことを示している.
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