園芸学会雑誌
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ツツジの交雑種育成における胚珠培養を利用した早期実生獲得
道下 紋乃嬉野 健次宮島 郁夫
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2001 年 70 巻 1 号 p. 54-59

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抄録
ツツジの実生を早期に得る技術の確立を目的として, 交配3および4か月後の胚珠を用いて無菌培養を行った.胚珠からの発芽率は50mg・liter-1のGA3を培地に添加することにより促進された.5種1変種の総当たり交配(30組合せ)で得られた胚珠を培養したところ, 交配3か月後の胚珠では20交配組合せで発芽がみられたが, その発芽率は30%以下であった.一方, 交配4か月後の胚珠では, 全ての交配組合せで実生が得られた.特にR. kiusianumを種子親にすると培養1か月以内に, R. kaempferiを種子親にすると培養2か月以内に50%以上の胚珠が発芽した.以上の結果から, 交配4か月後の胚珠を50mg・liter-1のGA3を添加した培地で培養することにより実生が得られ, 交配から実生を得るまでの期間は完熟種子を取り播きする場合よりも, 1.5∿2.5か月間短縮できることが明らかとなった.
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