抄録
極早生ウンシュウ'山川早生'を7品種の台木に接ぎ, 1994年(5年生)∿1998年(9年生)に生育および果実品質を調査した.樹の生育は, シイクヮシャー, ラングプァーライム, 'シトロメロ'およびボルカメリアナが'ヒリュウ', 'ルビドー'およびカラタチに比べ優れていた.収量はカラタチ系台木で少なく'シトロメロ'台が最も多かった.果汁の糖度はヒリュウ台が'シトロメロ'以外の強勢台木より高かった.酸度はシイクヮシャー台がボルカメリアナ台より高かった.カラタチ系は果実品質が優れていたが, 樹勢が弱く収量も劣っていた.解体調査の結果, 地上部, 地下部および全体重は'シトロメロ', カラタチ, 'ヒリュウ'の順に大きかった.樹勢の強い'シトロメロ'では樹勢の弱いヒリュウと比べ地上部への乾物の分配率が高く, T-R率も高かった.以上の結果から, 'シトロメロ'はウンシュウミカンの極早生系統において, カラタチ台に代わる強勢台木として利用できることが分かった.