園芸学会雑誌
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シソの香気評価に関する研究 : シソ葉香気の官能評価用語の選定
森中 洋一福田 直也高柳 謙治
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2001 年 70 巻 5 号 p. 607-615

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抄録
30名程度から成る非訓練パネルが使用するシソ香気の官能評価用語について検討した.まず, シソ生葉の香気特性を表現する用語の収集, 選定を行った.続いて全国各地から収集したシソ系統の官能評価を行った.さらに各項目について個人差による評価のばらつきを検討することで再度, 評価用語の選定を行い, 主成分分析法を中心とした統計手法による評価データの解析を試みた.1. 香りの質を表す27尺度および香りの強度と香りの快不快度についての2尺度, 計29評価尺度の信頼性および有効性を検討した.その結果, 個人差による評価のばらつきが小さく(折半相関係数r'≧0.65), かつサンプル間の差を有意(P<0.05)に検出できる尺度は, 「ツンツンした」, 「生き生きとした」, 「芳香性」, 「青臭い」, 「シソのような」, 「梅干しのような」の6つの官能評価用語による尺度に加え, 香りの強度と香りの快不快度についての2尺度, 計8評価尺度であった.2. これら8評価尺度の内, 香気質についての6尺度によるシソおよびエゴマの計36サンプルの評定データに主成分分析を適用し, 情報の集約を図った.その結果, パネルは, シソの香気を主に「シソらしさ」(PC1 : 73.2%)と「青臭さ」(PC2 : 12.3%)の2要素により区別, 評価していることが明らかになった.これら2要素により全体の情報量の85.5%が説明可能であった.
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