抄録
ユスラウメを台木とした'川中島白桃'の栽培においては不親和症状が発生しやすい.そこで, 樹勢衰弱との関連において, 台木の種類(普通台木 : PP樹, ユスラウメ台木 : PT樹), およびユスラウメ台と親和性の良い中間台木の挿入(IS樹)が, '川中島白桃'の開花前の樹体各部位の乾物量と, 炭水化物量に及ぼす影響を検討した.無着果の3年生樹における1樹当たりの全乾物重は, PT樹がPP樹の約半分で, IS樹はPT樹より多かった.しかしながら, 乾物重の地下部に対する地上部の割合(S/R比)は全ての区で同程度であった(0.57-0.59).また, 主要な炭水化物であるデンプンは, 地上部よりも地下部に多く含まれ, 特にPP樹の根で高かった.1樹当たりの全炭水化物量(デンプン+可溶性糖)はIS樹がPP樹の約半分, PT樹はPP樹の1/3程度であった.部位別にみると, 直径2mm未満の根で, どの区においても全炭水化物量が多かった.全炭水化物量のS/R比はPP樹が0.18, IS樹が0.31, PT樹が0.30であった.着果させた4年生樹では, 全乾物重のS/R比がPP樹では0.47と, 無着果樹のものに比べて低くなったのに対して, IS樹(0.63)とPT樹(0.66)では高くなった.一方, 全炭水化物量のS/R比はPP樹が0.16, IS樹が0.65, PT樹が0.80であった.以上のことから, ユスラウメ台木との親和性が低い品種では, 開花前の炭水化物量が少ないことが衰弱症状の発生を助長していると考えられるが, 親和性品種を中間台として用いることにより, 地下部における乾物分配, 炭水化物量が増加し, 衰弱症状の発生を軽減できる可能性が示唆された.