園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
カブの花房形成に及ぼす低温処理中の高温処理の影響
斎藤 秀幸斎藤 隆
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 72 巻 4 号 p. 329-334

詳細
抄録
カブの低温感応による花房形成に対する低温処理中の高温処理の影響について検討した.'ひかり'の幼苗を9℃で低温処理中,17, 24および30℃の高温に,1日当たり4,6および8時間遭遇させる断続低温処理を行った.温度処理終了後,花成の様相を調べ,花成強度を求めた,さらに,花成強度を用いて連続低温処理に対する断続低温処理の春化作用累積時間,ならびに,断続低温処理した場合の1日当たりの春化作用時間と離春化作用時間を求めた.花成強度は,連続低温処理区と比べて断続低温処理区で低くなり,高温処理温度が高いほど,また,1日当たりの高温処理時間が長いほど低くなった,特に,24および30℃で1日当たり6および8時間の高温処理をした場合に,花成強度の低下は大きかった.断続低温処理した場合の1日当たりの春化作用時間と離春化作用時間を求めることにより,低温遭遇中の高温の影響を定量的に把握することができた.17℃で1日当たり8時間あるいは24および30℃で1日当たり4時間の高温処理を行うと,低温処理による春化作用の50%以上が打ち消され,さらに,24および30℃で1日当たり8時間の高温処理では低温処理の10%程度が春化に作用し,90%近くが離春化されるものと考えられた.
著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top