園芸学会雑誌
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エビヅルおよびブドウ栽培品種実生の発育相と巻きひげおよび花房誘導との関係
卓 小能塩崎 修志尾形 凡生堀内 昭作
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2003 年 72 巻 6 号 p. 539-545

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抄録
発育相との関連におけるエビヅルおよびブドウ実生の巻きひげおよび花房の出現様式,ならびに相転換を誘起する要因について調査した.エビヅル実生の主梢上の各節から発生させた副梢の巻きひげ初生節位は,その副梢が主梢の幼若相部分より生じている場合には,主梢の節位が高くなるにつれて副梢上の巻きひげ出現節位が低くなった.主梢の過渡相に達した部分より発生している場合には,巻きひげ出現節位は一定となった.'キャンベル・アーリー'および'巨峰'実生を1本仕立てで生育させ,主梢上に巻きひげおよび花房の出現を確認したものを母樹とし,翌年,母樹を基部から1芽に切り戻した苗,および母樹の主梢を切断して節位別に1芽押しした押し穂から萌出する新梢の発育相を調査したところ,巻きひげ初生節位は母樹に比べてはるかに低位となった.一方,花房初生節位は切り戻した苗および挿し木ともに母樹の花房初生節位と同等かさらに高位化した.また,節位別挿し木では,挿し穂が主梢の幼若相にあたる節から採取された場合には,成木相にあたる節から採取された場合に比べて,巻きひげ初生節位が高くなる傾向が見られた.また,母樹の節位が高くなるにつれて,花房を形成する個体の比率は高まった.当年生エビヅル実生に散布処理した液肥,BA,GA3およびBAとスペルミジンの混合溶液は,巻きひげの初生節位には影響を及ぼさないが,BAを含む処理では花房の初生節位が低位化し過渡相が明らかに短縮された.一方,ACCやGA3は花房の形成を抑制し,過渡相から成木相への移行を遅延させた.
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