抄録
低温順化によるキュウリ葉の低温耐性増大にポリアミンが関与しているかどうかを調べるために,低温感受注品種'四葉'と耐性品種'津春三号'を,第1本葉展開時に,10/8℃(220μmol・m-2・s-1,12時間日長)で2日間低温順化処理した.これらの順化処理植物と常温(28/22℃,光条件は上記と同じ)下で生育した対照植物を,低温ストレス(3℃・暗黒)に24時間遭わせたのち,常温に戻した.対照葉では,特に'四葉'で常温復帰後に顕著な低温障害が発生したがU順化処理葉では両品種とも低温障害はほとんど発生しなかった.'津春三号'の順化処理葉では低温ストレス下および常温復帰後にスペルミジン(Spd)音量が一時的に顕著に高まったが,'四葉'では常温復帰後にSPd音量が一時的に増大したものの,全体的に'津春三号'のような顕著な変化はみられなかった.このように,'四葉'では葉の低温順化はポリアミン音量の増大を伴わずに起こった.これらのことから,キュウリ葉の低温順化反応にはポリアミンは不可欠ではないと考えられる.