アジアモンスーンエネルギー水循環観測研究計画(GAME)の予備的な観測が,地表面フラックスと土壌水分を測定するためのプロトタイプ自動気象ステーションの性能の評価といくつかのフラックス測定法の相互比較を目的に1996年の夏,タイ国スコタイ付近において行われた.使用された3つの観測システムで得られたデータに渦相関法,バンドパスコバリアンス法,ボーエン比法,プロファイル法,そしてバルク法を適用することで地表面フラックスが得られた.乱流統計量やフラックスの相互比較の結果,統計量そのものは正確に得られているものの,潜熱フラックス評価のためのバンドパスコバリアンス法のアルゴリズムには改良の余地があることが示された.また,熱収支的な方法を利用する場合,水田の水体の貯熱量変化の正確な評価が重要であることがわかった.全体としてステーションは短期間の高温度高湿度下の運用に満足のいくものであったが,長期運用のためにはこの地域特有の強い雨に対する備えが必要であることがわかった.