日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会会誌
Online ISSN : 2434-1932
Print ISSN : 2188-0077
症例
顔面神経麻痺を初発症状とした再発性多発軟骨炎の1例
清水 佑一佐々木 高綱堀 亨中山 勇樹
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2019 年 7 巻 2 号 p. 101-105

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抄録

再発性多発軟骨炎は全身の軟骨組織,特に耳,鼻,喉頭,気管軟骨などの繰り返す炎症と破壊に加え,眼炎症,蝸牛・前庭機能障害,関節炎などの多彩な症状を来す稀な全身性の疾患である.神経障害はそのうち3%程度しか生じないとされている.症例は84歳女性.左顔面神経麻痺,左耳介腫脹と発熱で前医を受診した.左Ramsay Hunt症候群と考えられ,抗ウイルス薬が投与されたが改善はみられず,両側難聴や吸気性喘鳴も出現したため,当科へ転院搬送となった.入院後,両側感音難聴,声門下腫脹,強膜炎の所見に加え,耳介腫脹も両側で認めたため,診断基準より再発性多発軟骨炎と診断した.顔面神経麻痺も一症候として説明可能であった.プレドニゾロン40 mg/日の投与を開始したところ症状の著明な改善を得た.稀ではあるが顔面神経麻痺と両側の耳介炎症をみた場合,再発性多発軟骨炎も鑑別の一つである.

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© 2019 日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会
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