2019 年 7 巻 2 号 p. 96-100
悪性外耳道炎は高齢な糖尿病患者に発症する壊死性の外耳道炎である.外耳道に生じた炎症が周囲組織や頭蓋底に進展すると,時に致死的病態を招くことがある.しかし,悪性外耳道炎に対する治療方法や治療効果判定方法は未だに確立されていない.
今回,当院で経験した慢性腎不全患者に発症した悪性外耳道炎のうち不幸な転帰を辿った症例と再燃を認めず良好な経過を辿った症例の2症例の治療経過を対比させ,悪性外耳道炎に対して有効とされる治療方法や治療効果判定方法に関して過去の文献を参考に考察を行った.
悪性外耳道炎に対しては初期の4週間から6週間の抗菌薬静脈投与及び静脈内投与終了後にも6カ月から12カ月間にわたる抗菌薬の内服投与による治療が有効と考えられた.また,赤血球沈降速度の測定による病変部の炎症反応の評価が,悪性外耳道炎の病勢の評価や抗菌薬治療の効果判定に有用であると考えられた.