日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会会誌
Online ISSN : 2434-1932
Print ISSN : 2188-0077
特集:第6回学会感染症シンポジウム「多職種で挑む致死性感染症」
多職種で挑む致死的感染症
―降下性壊死性縦隔炎―
平野 康次郎
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2019 年 7 巻 2 号 p. 55-62

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抄録

降下性壊死性縦隔炎(Descending Necrotizing Mediastinitis;以下DNM)は口腔咽喉頭領域の感染症が重力や胸腔内陰圧等の関与により間隙に沿って急速に縦隔方向に波及して発生し,抗菌薬が発展した現在においても致死的な感染症である.治療の要点は早期の外科的ドレナージであり手術による壊死組織のデブリードメントが重要である.複数の間隙に膿瘍を形成した症例や壊死性筋膜炎による症例は治療に難渋することがあり,長期挿管に伴い呼吸筋が萎縮し呼吸リハビリが必要になる症例や,嚥下に関連する筋群の壊死や萎縮により術後に嚥下障害を呈し長期入院となる症例がある.多職種共同で適切な治療,早期のリハビリテーション介入などを行うことにより早期の社会復帰に繋がる.当科で経験した2症例の治療経過を基に,DNMに対する多職種での治療に関して考察する.

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© 2019 日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会
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