2023 年 91 巻 12 号 p. 923-927,a2
長野県長野市長沼地区の千曲川左岸堤防の決壊に伴う氾濫の後に,地域一帯に泥土が堆積した。この泥土は,微細で透水性が非常に低い性質を有していた。約5cmの泥土が堆積したリンゴ畑の土壌水分ポテンシャルは,氾濫発生から約2週間後の10月29日に,樹幹から水平距離1.0mの深さ0.2mは-9.5kPa,深さ0.5mは-7.0kPaと,圃場容水量に相当する-6.3kPaを下回った。このように根圏土層が圃場容水量以下に減少したことは,泥土の脱水に伴い発生した亀裂を通じて大気が根圏土層に供給されたためと考えられた。またリンゴによる土壌水分の吸上げは,大気が土壌水分に置き換わることを促進したと考えられた。